
NOTHING HAPPENS とは
この作品のテーマは、その名の通り「何も起こらない」である。
何かを起こそうとした。
だけど、何も起こらない。
この作品達の中では「何も起こらない」もしくは起こらなかった事を訴えている。
- 作 品 -
本作品について、いずれも額装無で1点¥1,0000 より販売しております。
一度販売したものは再販致しません。
ご購入の際は問い合わせより作品名と共にご連絡いただければと思います。


縁故
学校を卒業してすぐに、特にやりたいこともないから就職した。
仕事も、特にやりたいことがないから。淡々と作業が出来そうな
小さな工場に決めた。
目指す将来なんてものはなくて
淡々と日々を過ごして、休日にゲームでもしていれば幸せかな
それくらいの感覚で、この先も生きていけると考えていた。
半年もしないうちに、その淡々とした何かがとてつもなく嫌になった。
大した使い道もないのにした借金も、
なかなか慣れない仕事も、帰っても誰も待っていない寂しさも
死にたいとかそういうんじゃなくて、ただただ何もしたくなくて、全部の繋がりをリセットしたくなった。
ある日から仕事に行かなくなった。
誰にも知られないところに行こうと、連絡ができる手段も断って
残暑の厳しい9月の夜に、念願の一人暮らしの部屋を出た。
それから2年か3年か。
結局逃げ出した先に、当然と言えば当然か。大した夢も希望もなくて。
あるのは名前と、その日をギリギリ生きるためのお金と仕事だった。
あの日の夜を何度も、何度も思い出した。
家族や友人はどうしているのだろうか、自分の捜索願は、出されていないのだろうなと。
あの日と同じような残暑の夜。
記憶にある、家の番号を入れてみる。
その電話は繋がらなかった。
仕事も、特にやりたいことがないから。淡々と作業が出来そうな
小さな工場に決めた。
目指す将来なんてものはなくて
淡々と日々を過ごして、休日にゲームでもしていれば幸せかな
それくらいの感覚で、この先も生きていけると考えていた。
半年もしないうちに、その淡々とした何かがとてつもなく嫌になった。
大した使い道もないのにした借金も、
なかなか慣れない仕事も、帰っても誰も待っていない寂しさも
死にたいとかそういうんじゃなくて、ただただ何もしたくなくて、全部の繋がりをリセットしたくなった。
ある日から仕事に行かなくなった。
誰にも知られないところに行こうと、連絡ができる手段も断って
残暑の厳しい9月の夜に、念願の一人暮らしの部屋を出た。
それから2年か3年か。
結局逃げ出した先に、当然と言えば当然か。大した夢も希望もなくて。
あるのは名前と、その日をギリギリ生きるためのお金と仕事だった。
あの日の夜を何度も、何度も思い出した。
家族や友人はどうしているのだろうか、自分の捜索願は、出されていないのだろうなと。
あの日と同じような残暑の夜。
記憶にある、家の番号を入れてみる。
その電話は繋がらなかった。


何も起こらない
この日、男は海に向かった。
最後の製作だと意気込んで、大きなリュックを背に。
気の早い男はまだ明るいうちに海へ着いた。
何やらドラマか、映画の撮影をしていて、
それを眺めるギャラリーのさらに後ろで、日が暮れるまでの時間つぶしに
撮影の様子を眺めていた。
他所の撮影が終わるころ、いよいよ日が暮れて
さあ自分の番だと。男はますます意気込んだ。
暗闇の中、波がどこまで来るかもよく見えず。
時より足首までつかる波に足場をえぐられては撮影を中断する。
持ち込んだ小道具は3つ。
どれも、これは絵になると見込んでいた。
しかし、1つは流されかけ。
もう1つは想像と異なり。
最後の1つは完全に海水と砂に侵食された。
この日のために練った構想も作った時間も、
すべてがこの暗い海に飲まれた。
何をどうあがいても、何も起こらない日。
最後の製作だと意気込んで、大きなリュックを背に。
気の早い男はまだ明るいうちに海へ着いた。
何やらドラマか、映画の撮影をしていて、
それを眺めるギャラリーのさらに後ろで、日が暮れるまでの時間つぶしに
撮影の様子を眺めていた。
他所の撮影が終わるころ、いよいよ日が暮れて
さあ自分の番だと。男はますます意気込んだ。
暗闇の中、波がどこまで来るかもよく見えず。
時より足首までつかる波に足場をえぐられては撮影を中断する。
持ち込んだ小道具は3つ。
どれも、これは絵になると見込んでいた。
しかし、1つは流されかけ。
もう1つは想像と異なり。
最後の1つは完全に海水と砂に侵食された。
この日のために練った構想も作った時間も、
すべてがこの暗い海に飲まれた。
何をどうあがいても、何も起こらない日。